自律神経失調症歴10年30代後半独身女子(バツイチ)の日常

独り言ブログ。同じような気持ちの人に読んでもらえたら( ˙▿˙ )

玄関の靴

私が通っていた高校のスクールバスは
原則、自宅がある路線のバスに乗るように
決められていた。

叔父の家は自宅からは遠く
私は公共交通機関で登校しなくてはならなかった。

隣の市まで通っていたため
通学に1時間近くかかる。

昨夜、警察に保護され祖母の家に
連れて行かれた母は、また朝方に姿を消したと
連絡は来ていたけれど
学校にでも行かないと頭がおかしくなりそうだった。

母は車の免許も持っていない。
今度はどこに行ってしまったのだろう。
もしかしたら、もうこの世にはいないのか。

学校までの1時間
そんな事を上手く働かない頭で考えていた。


その答えがすぐ目の前にあるとは知らず
学校に着いた私の目に飛び込んで来たのは
学校の玄関に並んだ母の靴だった。

ここにいた。生きていた。
そんな事に安堵するより先に恐怖に襲われた。

昨夜の事を思い出すと足が震えて
母に会いたくない。嫌だ。恐い。
そんな感情しか持てなかった。

私は走って職員室に向かい担任に事情を説明した。

先生は

お母さんは今、学校カウンセラーの先生と
会議室にいるから大丈夫。
とりあえず家族に連絡して。

と私をなだめた。

その言葉に従って
すぐ父に電話で事情を説明すると
これから向かうからと足早に電話は切られた。

どれくらい待ったのか分からないが
父が学校に着いたようで玄関まで迎えに行くと
父と兄と警察官が3人。

母が祖母の家から出て行先が分からず
父が警察に捜索願を出したそうだ。

そこから次の記憶は
父と兄と警察官3人に連れられて
学校を出て行く母の姿。

学校も騒然としていた。

友達に見られたくなかった。
恥ずかしいのか悲しいのか
もう何が何だか分からなかった。

結局、私もすぐに帰宅する事になり
自宅の最寄りの警察署に来るように言われ
家族4人警察署に勢揃いで
ここまで来ると、もう笑いさえ出そうだった。

昨夜から逃亡劇を繰り広げた母も
さすがに疲れたのか
これから病院に行きましょうと言う警察官に
反論する事もなく大人しく座っていた。

その日から
母は精神病院に入院する事になった。