自律神経失調症歴10年30代後半独身女子(バツイチ)の日常

独り言ブログ。同じような気持ちの人に読んでもらえたら( ˙▿˙ )

夢を諦めた時

一度、帰宅して翌日の学校の準備をした私は
叔父の家へと戻る事にした。

叔父の家から自宅まで
そして、また自宅から叔父の家へ。

道中、父と兄から状況の説明をされた。

母は父に殺されるという妄想に犯され
正気ではないという話だった。
家中の包丁やハサミは処分され
ついには自宅にいる事さえ拒んだそうだ。

もちろん
父には、そんな考えは微塵もなかった。

私の両親は小さいながら会社を経営していた。
従業員のトラブル、お金のやりくり
子育てに家事に近所付き合い。

母は全てを完璧にこなしていた。
それが苦しくて苦しくて限界だったのだ。

叔父の家に戻ったものの
母は私にも警戒していて、あまり近くに
いるのは得策じゃなかった。

別室に一人、何をしていいか分からず
時間だけが過ぎて行った。

何時間そうしていただろう。
突然、部屋が揺れ大声が聞こえる。

母が錯乱状態になっていた。

心配した父がこっそり叔父に連絡しているのを
察した母は叔父もグルなんだと騒ぎ
叔父の家から逃げようとしていた。

生まれて初めて恐怖で体が震えた。

恐くて動けずにいると
突然、私がいた部屋のドアが開き
母が入ってきた。

この家を出たい。友達の家へ行く。助けて。
と私に叫ぶ。

この人は誰なんだ...
いつも明るくてハツラツとした母は
どこへ行ってしまったんだ...

終電もないような時間になっていた。
私は、目の前で起こっている事を飲み込めず
ただただ恐怖でプツンと何か切れるように
全てを諦めた。

“ 行きたいなら行けばいいよ”

今の母の状態で、こんな時間に外へ行けば
事故に遭うかもしれない。
もしかしたら自分で最悪な道を選ぶかもしれない。

そんな考えが頭を過ぎったけれど
どうする事も出来なかった。

母がいなくなって
叔父や叔母がバタバタしている間に
私も叔父の家を出て気付けば防波堤に立っていた。

海に向かっている間の記憶は今でもない。

突然、腕を掴まれて初めて自分が防波堤に
いる事に気付いた。

心配して探し回ってくれた叔父に連れられて
叔父の家に戻った。

夜中、警察から母を保護したと連絡があった。

兄が迎えに行き今度は祖母の家へ連れて行った。


私は中学生の頃から心理学に興味を持ち
心理カウンセラーになろうと思っていた。

錯乱状態の母を見たその日
私はカウンセラーの夢を諦めた。

こんなの耐えられる訳がないと思った。
浅はかな夢だったと思った。

そして
眠ったのか眠れなかったのか
よく分からないまま翌日、学校へ行った。

そこでも、また
私に試練は降り掛かって来たんだ。