荒れ果てた心

私が専業主婦になってから
我が家は経済的にも余裕がなかった。

旦那が勤める業界もどんどん暇になり
残業がなくなり、土曜日の出勤も減った。

私は若い頃から
片手間に小さなスナックでバイトをしていた。

少し体調が良くなった頃から
週に１日だけお店に出た。

でも週に１日の稼ぎなんて
田舎の小さなスナックでは微々たるものだった。

経済的にも心にも余裕がなかった。

結婚して６年が経っていた。

そんな時
私は彼に再会する。

そう。忘れられなかった彼に。

とある店の中

少し離れた席に彼によく似た男性が座っている。

でも、私の知っている彼より
がたいが大きく会っていた頃とは
違うタバコをくわえていた。

疎遠になってから５年近くが経っていた。

本当に彼なのか確信が持てない。

私は困惑した。

声を掛けたい。でも人違いだったら？
もし彼だとしても私の事を忘れていたら？
こんなに太ってしまった私を見たら
引いてしまうかもしれない。

でも、私はポケットから携帯を取り出した。
もう何年も連絡を取っていなかった
彼の連絡先を呼び出した。

私からの連絡を受け取った彼は
周りをキョロキョロと見回している。

やっぱり彼だ。

私は抑えられず彼の元へと歩いた。

彼も私に気付いて

〝 おぉ。随分大きくなったな〟

と笑った。

神様からの助け舟なのか
それともイタズラなのか

私は、また彼に会ってしまった。